真夜中に水まきをした。
雪がちらちらし始めた季節に正気の沙汰ではないのかもしれない。
お風呂に入って、疲れもたまっていたので栄養ドリンクを飲んだ。
PCの不具合で仕事が思うようにはかどらず、
台所に栄養ドリンクの瓶が並んでいた。
車庫のゴミ箱に持っていこうと外へ出た。
玄関先で瓶をひとつ落としたら、かなり大きな音がして破片が飛び散った。
破片を拾い始めた指に痛みが走る。
暗闇の中でも指先の赤い血の玉がふくれあがる。
思わず口に含むと、鉄の味がした。
犬の足に刺さったら大変。
と、すぐに行動。
真夜中の水まきである。
ホースで勢いよく流してしまおうと考えた。
ところが、案外、気持ちいい。
手はかじかんだけど、玄関先どころか、窓にまで水をかける。
起きてしまった出来事も、見る角度を変えると違ってくる。
お風呂上がりの少し濡れた髪のまま、かじかむ手で水まきするのもヘンだけど
玄関先も車庫前も窓も綺麗になった。
なにより、真夜中の水まきは気分爽快だった。
部屋に戻ると、首を傾げて、つぶらな瞳で、犬が私を迎えてくれた。